税金・費用更新 2026-04-01

小規模宅地等の特例【2026年版】330㎡80%減額の要件・計算例・注意点(国税庁No.4124対応)

相続した自宅は330㎡まで80%、貸付地は200㎡まで50%の評価減ができる小規模宅地等の特例(国税庁No.4124)を宅建士が解説。4区分の要件・家なき子特例・3000万円控除との併用不可の注意点まで整理。

💡 この記事は宅地建物取引士が執筆・監修しています

小規模宅地等の特例は「売却判断の前提」になる

よく「相続した自宅を売ろうと思って不動産会社に連絡した」後になって、「売却してしまうと小規模宅地等の特例が使えなかった」と判明するケースがあります。この特例は、相続税の計算前に確認しておかなければならない重要な制度です。

小規模宅地等の特例とは、被相続人が住んでいた土地や事業に使っていた土地を相続した場合に、その評価額を最大80%減額できる制度です(租税特別措置法第69条の4。出典:国税庁「小規模宅地等の特例」)。

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4区分の詳細——要件と減額割合

①特定居住用宅地等(自宅の土地)

被相続人が住んでいた土地が対象です。最も利用されることが多い区分です。

項目内容
対象被相続人の自宅(居住の用に供されていた宅地)
上限面積330㎡
減額割合80%

主な適用要件(取得者の条件):

  • 配偶者が取得する場合:無条件で適用可能
  • 同居していた親族が取得する場合:相続税申告期限まで居住・所有継続
  • 同居していない親族が取得する場合:「家なき子特例」の要件を満たす必要がある(後述)

②特定事業用宅地等(事業に使っていた土地)

被相続人が個人事業を営んでいた土地が対象です。

項目内容
対象被相続人または同一生計親族の事業用宅地
上限面積400㎡
減額割合80%

相続開始の直前から相続税申告期限まで事業継続が必要です。

③特定同族会社事業用宅地等

被相続人が役員を務める同族会社が使用していた土地が対象です。

項目内容
対象同族会社の事業に使われていた宅地
上限面積400㎡
減額割合80%

取得者が申告期限まで役員であることが要件の一つです。

④貸付事業用宅地等(賃貸・駐車場等)

賃貸アパートや駐車場として使用していた土地が対象です。

項目内容
対象賃貸住宅・貸事務所・駐車場等の宅地
上限面積200㎡
減額割合50%

相続開始前3年以内に新たに貸し付けた土地は原則適用外(「3年縛り」)です。

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家なき子特例——同居していない子が自宅を相続するケース

「家なき子特例」とは、被相続人と同居していない相続人が自宅を相続した場合でも、一定の要件を満たせば特定居住用宅地等の特例を受けられる制度です。

家なき子特例の主な要件(2019年改正後):

  1. 被相続人に配偶者・同居の法定相続人がいないこと
  2. 相続開始前3年以内に、自己(または配偶者・3親等内の親族・特別の関係がある法人)が所有する家屋に住んでいないこと
  3. 相続した建物に相続税申告期限まで居住していないこと(売却不可)
  4. 相続開始時に居住している家屋を過去に所有したことがないこと

2019年の改正で要件が厳しくなっており、単純に「子が自分の家を持っていない」だけでは認められなくなっています。詳細な適用判定は必ず税理士にご確認ください。

具体的な計算例

例:配偶者が自宅の土地(250㎡、路線価評価額5,000万円)を相続した場合

  • 適用区分:特定居住用宅地等
  • 面積:250㎡(上限330㎡以内)
  • 減額割合:80%

計算:5,000万円 × 80% = 4,000万円の減額

→ 相続税の評価額が5,000万円から1,000万円になる

遺産総額が基礎控除ギリギリのケースでも、この特例が使えることで申告不要になることがあります。逆に使えなかった場合、多額の相続税が発生することもあります。

適用できないケース——注意が必要な場面

  • 申告期限(相続開始から10ヶ月)までに売却した場合:所有継続の要件を満たせなくなる可能性があります(区分によって異なるため税理士に確認)
  • 未分割のまま申告した場合:分割確定後に更正の請求が必要(期限あり)
  • 相続税の申告書に特例適用の記載がない場合:適用されません。申告書への明記が必須です
  • 貸付事業用で相続開始前3年以内に新規貸し付けた土地:3年縛りで原則不可

二世帯住宅・老人ホーム入所の場合

二世帯住宅: 構造上・利用上の独立性によって扱いが変わります。内部で行き来できる構造であれば同居とみなされやすいですが、登記の状況によっても変わります。個別判定が必要です。

老人ホーム等に入所していた場合: 一定の要件(要介護認定を受けていた、所有し続けていた自宅を賃貸・贈与していなかった等)を満たせば、老人ホームへ入所前の自宅敷地に特例を適用できます。2015年の改正で要件が明確化されました(出典:国税庁「老人ホームに入所していた場合」)。

3000万円控除との併用可否

空き家の売却で使える「3000万円特別控除(空き家特例)」と、小規模宅地等の特例は、基本的に両方同時には使えません

空き家特例は「相続税の申告期限から3年以内の売却」が要件の一つです。小規模宅地等の特例を使うと、評価額が下がるため相続税は減りますが、その後の売却時には3000万円控除が使えなくなる可能性があります。どちらを使うほうが有利かは、土地の評価額・売却価格・譲渡益の大きさ等によって変わります。必ず税理士と試算した上で判断してください。

売却判断と特例の関係——宅建士として意識すること

実務で最も重要なのは「売却前に特例の検討が終わっているか確認する」ことです。

  • 税理士との相談前に売却を確定させない
  • 「とりあえず売る」前に申告期限・特例の適用可否を確認する
  • 利用状況・居住状況をヒアリングして税理士相談の土台を作る
役割担当
利用状況の把握・書類整備宅建士
売却スケジュールの設計宅建士
特例の適用判定・計算・申告税理士

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*この記事は宅地建物取引士(雪下 智且)の監修のもと作成しています。内容は2026年2月18日時点の情報に基づきます。法令・制度は変更される場合があります。特例の適用判定・計算・申告については税理士にご確認ください。*

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