売却2026-03-27

相続した古家付き土地を売るには?解体vs現況渡しの判断基準を宅建士が解説

相続した土地に古い建物がある場合、解体して更地にするか現況のまま売るか迷う方が多いです。費用・税金・売れやすさの観点から実務目線で判断基準を整理します。

💡 この記事は宅地建物取引士が執筆・監修しています

古家付き土地の売却、解体するかどうかで悩む方が多い

相続した土地に古い家が建っている場合、「解体してから売った方がいいのか」「現況のまま売った方がいいのか」という判断で悩む方は多いです。

結論から言うと、どちらが正解かは物件の状態・立地・市場の状況によって異なります。ただし、「なんとなく更地の方が売れやすいだろう」という思い込みで動くと、余分な解体費用を負担してから査定額も上がらない、という結果になることがあります。

この記事では判断の基準を整理します。

「現況渡し」で売れる場合とそうでない場合

古家付きのまま(現況渡し)で売却する方法は、売主の負担が少なく、解体費用がかからないというメリットがあります。買い手が自分で解体するか、リノベーションするかを判断します。

現況渡しが有効なのは、次のようなケースです。

まず、建物の状態が比較的良く、リフォームや再利用が可能な場合。中古住宅としての需要が見込めます。近年は「古民家」や「昭和レトロ」な物件をあえて探す層も一定数おり、状態が良ければ意外な引き合いがある場合があります。

次に、買い手が解体業者とパイプを持つ不動産業者や開発業者の場合。買い取った後に自社で解体・開発する前提で購入するため、現況でも問題ありません。

一方、現況渡しが難しいのは、建物が老朽化・傾斜・雨漏りなどが著しく、「危険家屋」に近い状態の場合です。買い手がつきにくく、売却活動が長引くこともあります。

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更地(解体後)にした方がいい場合

解体して更地にすることで売却が有利になるのは、次のようなケースです。

土地の立地が良く、建物を取り壊して新築することが明らかに有利な場合。特に建蔽率・容積率が高い商業地や住宅地の駅近エリアでは、更地としての需要が高いことがあります。

また、建物が解体しなければ買い手にとって大きな心理的・金銭的負担になるケース(老朽化が激しく、解体費の見積もりが不明瞭な場合など)も、先に解体してから売り出す方が成約しやすいことがあります。

ただし、更地にすれば必ず価格が上がるわけではありません。解体費用(木造住宅の場合、延床面積1坪あたり3〜5万円が目安)を負担した上で査定価格が上昇するかどうかを確認してから判断することが重要です。地域の不動産会社に「解体前・解体後それぞれの査定額」を出してもらい、手取り額を比較するのが実務的なアプローチです。

固定資産税の観点から更地にするリスクを知る

更地にすると、住宅用地の固定資産税軽減措置が外れるという点を見落としがちです。

住宅が建っている土地は、小規模住宅用地(200㎡以下の部分)の固定資産税の課税標準額が評価額の6分の1に軽減される特例があります(地方税法第349条の3の2)。建物を解体して更地にすると、この特例が外れ、課税標準額が上がるため、固定資産税が大幅に増加します。

売却が長引く見込みがある場合は、解体のタイミングを慎重に考える必要があります。

「建物解体条件付き売却」という方法もある

価格交渉の選択肢として、「解体費用を売却価格から差し引く形での売却」、つまり解体費相当分を値引きして現況で売る方法もあります。

売主が解体せず、買主が解体費を見越した価格で購入するという合意ができれば、売主は解体の手間と費用を省きながら売却を完了できます。仲介会社がこの調整を担うことが多いですが、「解体費を差し引いた実質価格」が妥当かどうかは、複数業者への見積もりを取った上で確認してください。

旧耐震基準の建物には注意が必要

1981年以前に建てられた建物(旧耐震基準適用)は、買い手や融資条件によっては不利になるケースがあります。住宅ローン審査で耐震基準適合証明を求められることがあり、取得できない場合は融資が通りにくくなることもあります。土地値目的や現金購入の場合は売れるケースもありますが、売却先・条件が限られることは念頭に置いてください。また、旧耐震の建物を解体した場合に、廃棄物処理(アスベスト含有材など)の費用が想定より高くなることがあります。

解体前に専門業者によるアスベスト調査が必要か確認してください(大気汚染防止法・石綿障害予防規則)。

解体か現況渡しか:判断の目安

迷ったときの整理として、二つの方法の向き・不向きを以下にまとめます。

比較項目解体して更地で売る現況のまま(古家付き)で売る
向いているケース好立地で更地需要が明確、建物が危険な状態建物が比較的良好、リノベ需要がある地域
売主の初期コスト解体費用が必要(木造で1坪3〜5万円目安)なし
固定資産税住宅用地特例が外れ、税額が上がる特例が適用されたまま
売却活動の期間更地化後すぐ動けるが、期間中コスト増現況渡し・解体費用値引きで対応可能
旧耐震の場合解体前にアスベスト調査が必要な場合あり買い手・融資条件次第で制約あり

最も重要なのは、解体前に「解体後の査定額」を確認することです。解体費を上回る価格上昇が期待できない場合は、現況で売り出す方が手取りが多くなります。まず不動産会社に「現況」と「解体後」の両方の査定を依頼してください。無料診断ツールで状況を整理してから相談するとスムーズです。


*この記事は宅地建物取引士(雪下 智且)の監修のもと作成しています。内容は2026年3月27日時点の情報に基づきます。解体費用・アスベスト調査は専門業者に、譲渡所得税については税理士にご相談ください。固定資産税の軽減措置の確認は市区町村の税務担当窓口にお問い合わせください。*

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