相続した土地の売却価格を自分で調べる3つの方法|路線価・固定資産税評価額・査定の使い分け
相続土地の価格感を把握したい人に向けて、路線価・固定資産税評価額・不動産査定の3つの調べ方を宅建士が整理。それぞれの用途と限界を理解して、査定前の下調べに活用しましょう。
💡 この記事は宅地建物取引士が執筆・監修しています
「この土地、いくらで売れるの?」を自分で調べる方法
相続した土地の処分を考えるとき、まず気になるのが「いくらになるのか」という点です。
でも、いきなり不動産会社に査定を依頼するのに抵抗がある方も多いでしょう。まずは自分で価格の目安を掴んでから動きたい、というのは自然な流れです。
この記事では、相続土地の価格を調べる3つの方法とその使い分けを整理します。
土地価格には「4つの指標」がある
土地には目的別に複数の評価基準があります。まずここを整理しておきましょう。
| 名称 | 管轄 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 公示地価 | 国土交通省 | 一般的な取引の指標 |
| 路線価(相続税評価額) | 国税庁 | 相続税・贈与税の計算 |
| 固定資産税評価額 | 市区町村 | 固定資産税・不動産取得税の計算 |
| 実勢価格(時価) | 市場 | 実際の売買取引 |
一般的に、公示地価を100とすると、路線価は約80、固定資産税評価額は約70が目安とされています。実勢価格はエリアや需給によって公示地価の100〜120程度になることも珍しくありません。
方法①:路線価から計算する(無料・すぐできる)
路線価とは
路線価は国税庁が毎年公表する土地の評価額で、主に相続税・贈与税の計算に使います(出典:国税庁「路線価図・評価倍率表」)。
調べ方
- 国税庁の路線価図サイトにアクセス
- 都道府県・市区町村を選択
- 地図上で対象地の前面道路の数値を確認
路線価の数値(例:150)は「1㎡あたり150千円 = 150,000円」を意味します。
計算例
- 路線価:150(= 15万円/㎡)
- 土地面積:100㎡
- 路線価による評価額 = 15万円 × 100㎡ = 1,500万円
注意点
路線価は売却価格の目安としてはやや低めに出ます。あくまで「このくらいの土地価値がある」という下限感として参考にしてください。
なお、路線価がない地域(農地・山林・市街化調整区域など)は評価倍率方式で計算します。倍率は国税庁のサイトで確認できます。
方法②:固定資産税評価額から推計する
固定資産税評価額とは
固定資産税評価額は市区町村が算定する土地の評価額で、毎年届く固定資産税納税通知書に記載されています。
相続した土地の場合、市区町村の窓口で固定資産評価証明書を取得することでも確認できます(相続人であれば取得可能)。
公示地価水準への換算
固定資産税評価額は公示地価の約70%が目安とされています。
逆算すると、公示地価水準の目安は次のように見積もれます。
公示地価水準の概算 ≒ 固定資産税評価額 ÷ 0.7
- 固定資産税評価額:700万円
- 公示地価水準の概算 = 700万円 ÷ 0.7 = 1,000万円
注意点
この換算は宅地(住宅用途の土地)に適した目安であり、農地・山林・雑種地では大きくズレる場合があります。また、地価変動が大きいエリアでは評価の更新が追いつかないこともあります。
なお、実勢価格は個別条件や需給で上下するため、上記の逆算値と一致するとは限りません。取引事例や不動産会社の査定で補正して判断するのが実務的です。
あくまで「おおよその数字感」をつかむための参考値として使いましょう。
方法③:国土交通省の不動産情報ライブラリで取引事例を調べる
最も実勢に近い方法
国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ」では、実際の土地取引事例を地図上で確認できます(出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ」)。
過去の成約事例(面積・価格・㎡単価)が公開されているため、「同じエリアで似たような土地がいくらで売れたか」を把握するのに適しています。
調べ方
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」にアクセス
- 地図で対象エリアを表示
- 「不動産取引価格情報」を選択して検索
取引種別(宅地、農地、林地など)、面積帯、時期で絞り込むことができます。
活用のポイント
- 同じ地域の近い時期の事例を複数確認する
- 面積・形状・接道条件が異なれば単純比較はできない
- 「成約価格」であるため、路線価や固定資産税評価額より実勢に近い
3つの方法+最終確認(査定)の使い分けまとめ
| 方法 | 得られる情報 | 精度 | 手間 |
|---|---|---|---|
| 路線価 | 相続税評価ベースの価格感 | やや低め | ★☆☆(すぐできる) |
| 固定資産税評価額 | 市区町村ベースの価格感 | やや低め | ★☆☆(書類取得が必要) |
| 不動産情報ライブラリ | 実際の成約事例 | 実勢に近い | ★★☆(地図検索が必要) |
| 不動産会社査定 | 個別物件の売り出し価格 | 最も実態に近い | ★★★(依頼が必要) |
「査定前の下調べ」として使う意識を持つ
上記の3つの方法は、いずれも参考値です。実際の売却価格は次の要因によって大きく変わります。
- 形状(整形地か不整形地か)
- 接道条件(幅員・方向・接面長さ)
- 利用規制(用途地域・市街化調整区域など)
- 周辺環境・需要の有無
- 土地の状態(更地か、建物が残っているか)
これらを総合評価するのが不動産会社の査定です。まず3つの方法で「大まかな価格感」をつかんだうえで、複数の不動産会社に査定を依頼して比較するのが実務的な進め方です。
まとめ
相続した土地の売却価格を調べるには、路線価・固定資産税評価額・不動産情報ライブラリの3つが活用できます。
- 路線価:国税庁サイトでほぼ即座に確認できる(やや低め)
- 固定資産税評価額:納税通知書か評価証明書で確認(やや低め)
- 不動産情報ライブラリ:実際の成約事例が確認できる(実勢に近い)
これらを「査定前の下調べ」として活用し、価格感を持った状態で専門家に相談すると、話し合いがスムーズになります。
無料診断ツール でまず方向性を整理してから、必要に応じて不動産会社・税理士への相談に進みましょう。
*この記事は宅地建物取引士の監修のもと作成しています。内容は2026年2月26日時点の情報に基づきます。土地の評価方法は個別条件によって異なるため、具体的な売却価格は不動産会社への査定をご確認ください。*