相続した不動産の「仲介」と「買取」どちらで売る?特徴・向き不向き・選び方を宅建士が解説
相続した不動産を売る際に迷いやすい「仲介」と「買取」の違いを宅建士が整理。価格・スピード・手間の比較と、相続土地特有の状況に応じた選び方のポイントを解説します。
💡 この記事は宅地建物取引士が執筆・監修しています
「仲介か買取か」どちらで売ればいい?
相続した不動産の売却を検討するとき、不動産会社に相談すると「仲介」と「買取」という2つの選択肢が出てくることがあります。
どちらも「不動産会社が関与する売却方法」ですが、仕組みが異なり、向いている状況も違います。
この記事では、仲介と買取の違いを整理したうえで、相続土地特有の条件に応じた選び方のポイントを解説します。
仲介とは
仲介(媒介)は、不動産会社が売主と買主の間に入り、取引をサポートする売却方法です。
不動産会社はあくまで「仲介者」であり、直接買い取るわけではありません。買主が見つかって初めて売買が成立します。
仲介の流れ
- 不動産会社に媒介契約を締結
- 物件情報をレインズ(不動産流通機構)や各種ポータルサイトに掲載
- 買主候補への内覧・交渉
- 買主が決まったら売買契約・決済
- 成約後に仲介手数料を支払い
仲介の特徴
- 価格:市場価格(実勢価格)での売却が狙える
- 期間:買主が見つかるまで時間がかかる(一般的に3〜6ヶ月程度)
- 確実性:買主が現れないと成約しない
- 手数料:一般的には成約価格の最大3.3%+66,000円(税込)が上限。なお、低廉な空家等では上限計算が異なる特例があるため、個別に確認が必要(出典:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」)
買取とは
買取は、不動産会社が直接その物件を買い取る売却方法です。
不動産会社が自己資金で買い取り、リフォームや土地整備をして転売するビジネスモデルのため、仲介とは根本的に仕組みが異なります。
買取の流れ
- 不動産会社に査定を依頼
- 買取価格の提示を受ける
- 条件に合意したら売買契約・決済
- (仲介手数料は不要なことが多い)
買取の特徴
- 価格:仲介での市場価格の6〜8割程度が目安(物件条件・立地で変動)
- 期間:数日〜数週間が目安(審査・契約条件により変動)
- 確実性:買取業者が承諾すれば確実に売却できる
- 手数料:不動産会社が買主のため、仲介手数料が不要なことがある
仲介と買取の主な違い
| 項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 売却先 | 一般個人・法人(不動産会社が探す) | 不動産会社(直接) |
| 売却価格 | 市場価格水準 | 市場価格の6〜8割程度が目安 |
| 売却までの期間 | 3〜6ヶ月以上かかることも | 数日〜数週間が目安 |
| 売却の確実性 | 買主が見つからないと不成立 | 合意すれば確実 |
| 仲介手数料 | 必要(成約額の最大3.3%等) | 不要なことが多い |
| 契約不適合責任 | 原則売主が負担 | 免責交渉ができることが多い |
| 物件の状態 | 整備・清掃が必要な場合も | 現状のまま売却できることが多い |
相続土地の状況別・選び方のポイント
相続した土地特有の条件によって、どちらが向いているかが変わります。
ケース1:売却を急いでいる
相続税の納付期限(相続開始から10ヶ月以内)や、共有者との早期解決が必要な場合は、買取の方が向いています。
仲介では買主が見つかるまで時間がかかるため、期限があるケースではリスクが生じることがあります。
ケース2:できるだけ高く売りたい
価格を優先するなら、まず仲介で市場に出してみることを検討しましょう。
ただし「売れ残り」期間が長くなると印象が悪くなり値下げを求められることもあるため、最初の売り出し価格の設定が重要です。
ケース3:古家・廃屋・建物が残っている
解体費用や建物調査が必要になる場合、買取の方がトラブルになりにくいことがあります。
買取業者は物件を仕入れたあと自社でリフォーム・解体を行うため、現状のまま引き渡せる可能性があります。一方、仲介で一般買主に売る場合は、建物の状態に関するトラブルが生じやすくなります。
ケース4:権利関係が複雑
共有持分が多い、境界が未確定、法的な問題が残っているなど権利関係が複雑な場合も、買取の方が現実的な選択肢になりやすいです。
一般買主は住宅ローンの審査を経るため、複雑な権利関係がある物件はローンが通りにくく、仲介での成約が難しいことがあります。
ケース5:遠方の土地・管理が困難
地方の山間部や相続した農地など、現地確認や管理が困難な土地は、買取業者や専門業者への相談が向いています。
仲介では一般買主の内覧対応が必要になることもありますが、買取なら省略できます。
※農地は農地法上の許可・届出や転用可否により売却条件が大きく変わるため、自治体や専門家への事前確認が重要です。
買取を検討する際の注意点
買取は速さと確実性が強みですが、注意点もあります。
価格の妥当性を確認する
複数の買取業者から査定を受け、金額を比較することが重要です。1社だけでは価格の妥当性が判断できません。
「仲介も試した上で」という判断も有効
まず仲介で市場に出してみて、一定期間(例:3ヶ月)で売れなければ買取に切り替えるという方針も合理的です。最初から買取一択にしなくても構いません。
仲介手数料と売却価格のトレードオフ
仲介手数料は節約できても、買取価格が市場価格より大幅に低ければ手取りは変わらないこともあります。「手取り額ベース」で比較することが重要です。
まとめ
相続した不動産の売却では、「仲介」と「買取」のどちらが正解かは一律に決まりません。
- 価格重視・時間に余裕がある → まず仲介を検討
- スピード重視・複雑な事情がある → 買取を検討
- 迷う場合 → 両方の査定を受けて手取り額で比較
相続土地は権利関係・建物の状況・立地条件がさまざまなため、複数の不動産会社に仲介・買取両方の査定を依頼して比較するのが実務的です。
また、土地の条件によっては「売却」以外に国庫帰属制度や民間引取が現実的な選択肢になる場合もあります。全体像を確認したい方は、4つの処分方法の比較ページ もあわせてご覧ください。
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*この記事は宅地建物取引士の監修のもと作成しています。内容は2026年2月27日時点の情報に基づきます。個別の物件状況・取引条件により適切な売却方法は異なるため、具体的な判断は不動産会社や専門家へご確認ください。*