売却2026-03-01

相続した不動産の一括査定サービスの使い方|複数社比較で損しないポイントを宅建士が解説

相続した不動産を売る際に活用できる一括査定サービスの仕組み・流れ・選び方を宅建士が解説。査定価格の見方と、高額査定に騙されないためのポイントも整理します。

💡 この記事は宅地建物取引士が執筆・監修しています

一括査定サービスとは

相続した不動産の売却を検討するとき、「どの不動産会社に頼めばいいかわからない」という悩みは非常によくあります。

そこで役立つのが不動産一括査定サービスです。

一括査定サービスとは、1回の入力で複数の不動産会社に同時に査定を依頼できるWebサービスです。自分で1社ずつ連絡する手間なく、複数社の価格を比較できる点が最大のメリットです。

相続不動産は権利関係や物件の状況が複雑なケースも多く、査定額が会社によって数百万円以上異なることも珍しくありません。一括査定は「相場感をつかむ」ためにも有効なツールです。

一括査定サービスの種類

一括査定サービスは大きく2種類に分かれます。

仲介系サービス

一般の買主(個人や法人)を探す「仲介」を専門とした不動産会社が集まるサービスです。市場価格での売却を目指すため、価格を重視する方に向いています。

主な特徴:

  • 登録会社の多くが仲介専門
  • 成約までに時間がかかることが多い(3〜6ヶ月以上)
  • 成約後に仲介手数料が発生する

買取系サービス

不動産会社が直接買い取る「買取」専門のサービスです。スピード重視・確実に売りたい方に向いています。

主な特徴:

  • 不動産会社自身が買主になる
  • 条件が整えば、数日〜数週間での現金化が可能
  • 価格は市場価格の6〜8割程度が目安

両方対応のサービス

仲介と買取の両方の査定を同時に依頼できるサービスもあります。相続不動産の場合、「まず両方の価格を知ってから決める」という使い方が合理的です。

一括査定の流れ

1. 物件情報の入力

サービスのフォームに以下のような情報を入力します。

  • 物件の住所・種別(土地・マンション・一戸建てなど)
  • 面積・築年数
  • 売却希望時期
  • 連絡先(電話番号・メールアドレス)

相続直後で詳細情報が不明な場合でも、おおよその情報で入力できます。固定資産税評価額や謄本情報がわかると、より精度の高い査定が得られます。

2. 査定の種類(机上査定・訪問査定)

査定には2種類あります。

種類内容精度所要時間
机上査定(簡易査定)データベースや過去事例をもとに算出概算レベル数時間〜1日
訪問査定担当者が現地を確認して算出より正確日程調整が必要

まず机上査定で複数社を絞り込み、候補社に絞ってから訪問査定を受けるという使い方が効率的です。

3. 各社からの連絡対応

登録後、複数の不動産会社から電話・メールで連絡が届きます。

注意点:一括査定に登録すると、複数社から短期間に連絡が集中することがあります。対応の手間が気になる場合は、登録社数を2〜3社に絞れるサービスを選ぶか、「メール対応のみ希望」と入力欄に記載しておくと負担を減らせます。

4. 査定価格と担当者の比較

各社の査定を受けたら、以下の点を比較します。

  • 査定価格(根拠の説明があるか)
  • 売却活動の具体的な方針
  • 担当者の対応・説明のわかりやすさ

5. 媒介契約の締結

依頼する会社を決めたら、媒介契約を締結します。媒介契約には3種類あります(後述)。

査定価格の正しい見方

一括査定で最も注意すべきは、「査定価格が高い会社が良い会社とは限らない」という点です。

高額査定には根拠の確認を

実際の売却価格(成約価格)は査定価格と異なることがほとんどです。根拠なく高い査定額を提示し、媒介契約を取ってから値下げを繰り返す「高預かり(媒介契約獲得目的の過大査定)」には注意が必要です。

確認すべきポイント:

  • 近隣の成約事例(実際に売れた価格)を提示してくれるか
  • なぜその価格で売れると考えるか、具体的な根拠を説明してくれるか
  • 売れなかった場合の値下げシナリオも説明してくれるか

査定価格と売り出し価格は異なる

査定価格はあくまで「この価格帯で売れる可能性がある」という目安です。実際の売り出し価格は、売主と不動産会社が相談して決めます。

相続不動産の場合、相続税の納付(相続開始から10ヶ月以内)や共有者との合意スケジュールを踏まえて、売り出し価格と期間を設定することが重要です。

媒介契約の種類と選び方

不動産会社に売却を依頼する際に締結する「媒介契約」には3種類あります(出典:国土交通省「媒介契約書について」)。

種類他社への依頼自己発見取引売主への活動報告レインズ登録
専属専任媒介不可不可1週間に1回以上5日以内(休業日を除く)
専任媒介不可2週間に1回以上7日以内(休業日を除く)
一般媒介規定なし登録義務なし

相続不動産では、連絡窓口の一本化や進行管理のしやすさから、専任媒介または専属専任媒介が選択肢になることがあります。ただし一般媒介で複数社に同時依頼して競争させる方法が向いているケースもあり、どちらが適切かは物件・状況によります。

相続不動産の一括査定で確認すべきポイント

一般的な不動産とは異なり、相続不動産には特有の確認事項があります。

相続登記の状況

売却前に相続登記(名義変更)が必要です。2024年4月から相続登記が義務化されており、不動産の売却も登記が完了していることが前提になります。登記が未完了の場合、司法書士への依頼タイミングを不動産会社と相談しましょう。

共有者全員の同意

複数の相続人が共有する不動産を売却するには、原則として共有者全員の合意が必要です(共有持分のみの売却は一部例外あり)。売却手続きを進める前に、相続人間で合意を得ておく必要があります。

建物の状態・境界の確認

古家がある場合は解体の要否、土地の境界が確定しているかも査定に影響します。これらの情報が不明な場合でも、査定時に不動産会社へ状況を正直に伝えることが重要です。

相続税との関係

相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月以内)が迫っている場合、売却スケジュールが申告期限に影響することがあります。税理士・不動産会社と連携して進めることが望ましいです。

一括査定サービスを使う際の注意点まとめ

  • 電話対応の負担:複数社から短期間に連絡が来る。対応が難しい場合は事前に連絡希望方法を伝える
  • 高額査定に惑わされない:根拠のある査定かどうかを確認する
  • 対応エリアの実績:全国対応を謳っていても、地方の土地では査定精度が低い会社もある
  • 個人情報の取り扱い:登録情報が加盟各社に提供される点を把握しておく
  • 査定はあくまでスタート:査定後の担当者との相性や提案内容が最終的な会社選びに大きく影響する

まとめ

相続した不動産を売る際に一括査定サービスを使うメリットは、複数社の価格・対応を効率よく比較できる点にあります。

利用のポイントを整理すると:

  • まず机上査定で相場感と会社の候補を絞る
  • 訪問査定で精度の高い価格と担当者の対応を確認する
  • 査定価格だけでなく、根拠・方針・担当者の説明力で最終判断する
  • 媒介契約の種類も理解したうえで依頼先を決める

また、相続不動産の場合は「仲介」と「買取」のどちらが向いているかが状況で変わります。詳しくは 仲介vs買取の選び方記事 もあわせてご覧ください。

まずご自身の状況(売れやすさ・売却の緊急度・権利関係)を整理したい方は、無料診断ツール をご活用ください。


*この記事は宅地建物取引士の監修のもと作成しています。内容は2026年3月1日時点の情報に基づきます。個別の物件状況・取引条件により適切な対応は異なるため、具体的な判断は不動産会社や専門家へご確認ください。*

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