制度解説2026-02-03

【2025年最新】相続土地国庫帰属制度の申請動向と承認状況

相続土地国庫帰属制度の最新統計(2025年9月時点)を解説。申請動向や承認状況、山林の承認が低めな背景、2028年制度見直しの動きを紹介。

💡 この記事は宅地建物取引士が執筆・監修しています

相続土地国庫帰属制度の最新統計(2025年9月時点)

相続土地国庫帰属制度が2023年4月にスタートしてから約2年半が経過しました。法務省が公開した最新データ(2025年9月30日時点)によると、申請件数は累計4,556件に達し、多くの方がこの制度を活用しています(出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」)。

しかし、承認率は約47%と、申請しても半数近くは承認されていないのが現状です。

最新の統計データ(2025年9月30日時点)

項目件数
申請件数4,556件
帰属件数(承認)2,145件
承認率約47%

制度開始から約2年半で、国庫帰属された土地は2,000件を突破しました。今後も利用者は増加する見込みです。

地目別の申請状況

申請された土地の内訳を見ると、農地と宅地が大半を占めています(2025年9月30日時点)。

地目申請件数
田・畑(農地)約1,800件
宅地約1,600件
山林約700件
その他約400件

農地の申請が最も多いのは、地方で相続した田畑の管理に困っている方が多いことを反映しています。

山林の承認率が低い理由

特に注目すべきは山林の承認率の低さです。山林は約700件の申請に対し、帰属が認められたのは約130件程度と、承認率は約2割にとどまっています。

山林が承認されにくい3つの理由

1. 境界確認の困難さ

山林は道がない場所も多く、境界杭の確認や写真撮影が物理的に難しいケースが多くあります。

2. 書類不備の多さ

境界写真の不備など、一つの書類不備で申請が却下されるケースが頻発しています。

3. 隣接所有者との調整

山林の場合、隣接する土地の所有者との境界確認が困難なケースが多いです。

山林で申請を成功させるには

  • 事前相談を必ず利用する(法務局で要件を確認)
  • 境界確認は早めに着手(隣接所有者との関係構築が重要)
  • 専門家への依頼を検討(司法書士や土地家屋調査士のサポートを活用)

2028年の制度見直しに向けた動き

相続土地国庫帰属法の附則では、施行後5年(2028年4月)を経過した時点で制度の見直しを行うこととされており、法務省・財務省など関係省庁が検討を進めています(出典:財務省「相続土地国庫帰属制度等に係る現状と課題」)。

見直しの検討項目

  • 土地の最適な管理方法
  • 境界確認の考え方
  • 処分の在り方

特に山林の境界確認については、要件緩和を求める声が多く上がっており、今後の制度改正で改善される可能性があります。

注意点:改正を待つ間も固定資産税は発生し続けるため、「待てば有利になる」とは限りません。

申請を成功させるための5つのポイント

1. 法務局の事前相談を必ず利用する

申請前に必ず法務局の事前相談を利用しましょう。要件を満たしているかどうか、必要書類について事前に確認できます。

2. 相続登記を済ませておく

相続土地国庫帰属制度を利用するには、相続登記が完了していることが前提条件です。2024年4月から相続登記は義務化されていますので、まだの方は早めに手続きを進めましょう。

3. 境界確認は早めに着手

特に山林や農地の場合、境界確認に時間がかかります。隣接所有者との関係構築も含め、早めに準備を始めることが重要です。

4. 費用総額を事前に把握

国庫帰属制度を利用するには、以下の費用がかかります。

費用項目金額
審査手数料14,000円/筆
負担金原則20万円(土地により変動)
専門家費用(任意)10万円〜数十万円

実際に審査に合格した案件を見ると、全体で20万円から100万円程度で収まっているケースが多いです。

5. 却下・不承認要件に該当しないか確認

以下に該当する土地は申請できません。

却下要件(申請自体が却下)

  • 建物がある土地
  • 担保権や使用収益権が設定されている土地
  • 通路など他人の利用が予定されている土地
  • 土壌汚染がある土地
  • 境界が明らかでない土地

不承認要件(審査の結果不承認)

  • 崖がある土地
  • 工作物、車両、樹木などがある土地
  • 地下に除去すべきものがある土地
  • 隣地と争いがある土地
  • 通常の管理に過大な費用がかかる土地

国庫帰属制度が使えない場合の選択肢

承認率は約47%にとどまり、却下・不承認・取下げも一定数あります。国庫帰属制度が利用できない場合でも、以下の選択肢があります。

民間の買取業者に相談

訳あり物件を専門に扱う買取業者であれば、国庫帰属制度で承認されない土地でも買い取ってもらえる可能性があります。

土地活用を検討

駐車場や太陽光発電など、土地の特性を活かした活用方法がないか検討してみましょう。

相続放棄の検討

相続開始から3ヶ月以内であれば、相続放棄という選択肢もあります。ただし、相続放棄はすべての財産を放棄することになるため、慎重な判断が必要です。

まとめ

相続土地国庫帰属制度は、制度開始から約2年半で申請4,556件・帰属2,145件と着実に利用が増えています。ただし、承認率は約47%と、申請すれば必ず通るわけではありません。

特に山林は承認率が約2割と低いため、事前の準備が重要です。2028年4月には制度見直しが予定されていますが、改正を待つ間も固定資産税は発生し続けます。

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*この記事は宅地建物取引士が執筆・監修しています。*

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