制度解説2026-01-22

【2026年最新】相続土地国庫帰属制度とは?条件・費用・手続きを宅建士が徹底解説

相続した土地を国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」について、申請条件、必要費用、手続きの流れを宅建士がわかりやすく解説します。

💡 この記事は宅地建物取引士が執筆・監修しています

相続土地国庫帰属制度とは?

相続土地国庫帰属制度は、相続または遺贈によって取得した土地を、一定の条件を満たす場合に国に引き取ってもらえる制度です。2023年(令和5年)4月27日から開始されました(出典:法務省)。

「相続したけど使い道がない」「遠方で管理できない」「固定資産税だけがかかる」といった、いわゆる負動産に悩む方のための救済制度として注目されています。

なぜこの制度ができたのか?

日本では、少子高齢化や人口減少により、所有者不明土地が増加しています。2017年の調査では、所有者不明土地の面積は九州本島を超える約410万ヘクタールに達しました。

こうした土地が放置されると、以下のような問題が生じます。

  • 公共事業や災害復興の妨げになる
  • 周辺の土地利用や環境に悪影響を及ぼす
  • 管理されず荒廃が進む

この問題を解決するため、2021年に「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が成立し、2023年4月から施行されました。

申請できる人の条件

国庫帰属制度を利用できるのは、以下の条件を満たす方です。

申請できる人

  • 相続または遺贈によって土地を取得した人
  • 土地の所有権の全部または一部を持っている人

申請できない人

  • 購入や贈与で土地を取得した人(相続以外の取得)
  • 法人

重要なポイント:この制度は「相続」で取得した土地のみが対象です。自分で購入した土地や、生前贈与で受け取った土地は対象外となります。

申請できる土地の条件

すべての土地が国に引き取ってもらえるわけではありません。以下の条件を満たす必要があります。

申請できない土地(却下要件)

以下に該当する土地は、申請の段階で却下されます。

  1. 建物がある土地
  2. 担保権や使用収益権が設定されている土地
  3. 他人の利用が予定されている土地(通路など)
  4. 土壌汚染がある土地
  5. 境界が明らかでない土地、所有権の争いがある土地

不承認となる土地

審査の結果、以下に該当すると判断された場合は不承認となります。

  1. 一定の勾配・高さの崖があり、管理に過大な費用・労力がかかる土地
  2. 土地の管理・処分を阻害する有体物(車両、樹木など)がある土地
  3. 土地の管理・処分のために除去が必要な有体物が地下にある土地
  4. 隣接地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
  5. その他、通常の管理・処分に過大な費用・労力がかかる土地

必要な費用

国庫帰属制度を利用するには、以下の費用がかかります。

1. 審査手数料

14,000円(1筆あたり)

申請時に納付します。審査の結果、却下や不承認となっても返金されません。

2. 負担金

承認された場合、10年分の土地管理費相当額を負担金として納付する必要があります。

土地の種類負担金
宅地20万円(面積にかかわらず一律)
田畑面積に応じて算定(20万円〜)
山林面積に応じて算定(20万円〜)
その他20万円(面積にかかわらず一律)

参考:当サイトの費用シミュレーターで、あなたの土地の負担金を計算できます。

手続きの流れ

STEP 1:法務局への相談(任意)

まずは最寄りの法務局で相談することをお勧めします。要件を満たしているか、必要書類は何かなど、事前に確認できます。

STEP 2:申請書類の作成・提出

以下の書類を作成し、土地の所在地を管轄する法務局に提出します。

  • 承認申請書
  • 土地の位置・形状を示す図面
  • 土地の写真
  • その他(申請者の印鑑証明書など)

STEP 3:法務局による審査

書類審査と実地調査が行われます。審査期間は半年〜1年程度かかることが多いです。

STEP 4:承認・負担金の納付

審査の結果、承認されると負担金の通知が届きます。通知から30日以内に負担金を納付します。

STEP 5:国庫帰属

負担金の納付が確認されると、土地の所有権が国に移転します。

制度の利用状況(2025年9月時点)

項目数値
累計相談件数約2万件以上
申請件数4,556件
帰属件数2,145件
承認率約47%

注目ポイント:相談件数に対して申請に至るのは一部。多くの方が条件に合わず、申請を断念しています(出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」)。

国庫帰属制度のメリット・デメリット

メリット

  • 公的な制度なので信頼性が高い
  • 承認されれば確実に土地を手放せる
  • 民間サービスより費用が安いことが多い

デメリット

  • 条件が厳しい(建物あり、境界不明はNG)
  • 審査に時間がかかる(半年〜1年)
  • 相続で取得した土地のみが対象

国庫帰属制度が使えない場合の代替手段

条件に合わない場合は、以下の方法を検討してください。

1. 民間引取サービス

建物がある土地、境界が不明確な土地でも引き取ってもらえる場合があります。費用は数十万円程度かかりますが、国庫帰属より条件が緩いのが特徴です。

2. 売却・買取

訳あり物件専門の買取業者なら、条件の悪い土地でも買い取ってもらえる可能性があります。

3. 相続放棄

まだ相続前であれば、相続放棄も選択肢の一つです。ただし、土地だけでなく全ての財産を放棄することになります。

詳しい比較処分方法の比較ページをご覧ください。

まとめ

相続土地国庫帰属制度は、相続した不要な土地を国に引き取ってもらえる画期的な制度です。しかし、条件が厳しいため、すべての人が利用できるわけではありません。

まずは当サイトの無料診断ツールで、あなたの土地に最適な処分方法を確認してみてください。


*この記事は宅地建物取引士が執筆・監修しています。最新の制度情報は法務省の公式サイトでご確認ください。*

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