制度解説2026-01-22

相続土地国庫帰属制度の7つのデメリット|申請前に知っておくべき注意点

相続土地国庫帰属制度のデメリットを宅建士が解説。条件の厳しさ、費用、時間、却下リスクなど申請前に知っておくべき7つの注意点と、代替手段を紹介します。

💡 この記事は宅地建物取引士が執筆・監修しています

相続土地国庫帰属制度は万能ではない

2023年4月に始まった相続土地国庫帰属制度。「国が土地を引き取ってくれる」と聞くと魅力的ですが、実際には多くの制限やデメリットがあります(出典:法務省)。

本記事では、申請を検討する前に知っておくべき7つのデメリットを解説します。

デメリット1:条件が非常に厳しい

最大のデメリットは、申請できる土地の条件が厳しいことです。

申請できない土地(却下要件)

以下に1つでも該当すると、申請の段階で即却下されます。

  • 建物がある土地(解体が必要)
  • 担保権が設定されている土地
  • 境界が不明確な土地
  • 土壌汚染がある土地
  • 他人に使用されている土地(通路など)

審査で不承認となる土地

以下に該当すると、審査の結果不承認となります。

  • 崖があり管理に過大な費用がかかる土地
  • 樹木や車両など、除去が必要な物がある土地
  • 地下に埋設物がある土地
  • 隣地とトラブルがある土地

現実:相談は数万件規模ある一方、申請に進むのは一部。多くの方が条件に合わず断念しています。

デメリット2:建物があると使えない

建物がある土地は申請できません。

古い家屋が残っている場合、利用するには解体が必要です。解体費用の目安は:

建物の種類解体費用の目安
木造(30坪)百万円前後
鉄骨造(30坪)百万円台
RC造(30坪)百万円台

解体費用を含めると、総額で100万円以上かかるケースも珍しくありません。

デメリット3:費用がかかる(無料ではない)

「国に引き取ってもらう」と聞くと無料のイメージがありますが、費用がかかります

必要な費用

費用項目金額
審査手数料14,000円/筆
負担金20万円〜(10年分の管理費相当)
測量費用(必要な場合)数十万円程度
書類取得費用数千円〜

合計で25万円〜100万円以上かかることもあります。

負担金の計算例

土地の種類面積負担金
宅地面積問わず20万円
田畑(市街化区域外)500㎡約72万円
山林1,000㎡約26.1万円

注意:審査手数料は却下・不承認でも返金されません

デメリット4:審査に時間がかかる

申請から承認まで、半年〜1年以上かかります。

手続きの流れと期間

ステップ期間
事前相談1〜2ヶ月
書類準備1〜3ヶ月
申請〜審査6〜12ヶ月
負担金納付30日以内

急いで土地を手放したい方には不向きです。

デメリット5:相続で取得した土地のみが対象

この制度を利用できるのは、相続または遺贈で土地を取得した人のみです。

対象外となるケース

  • 自分で購入した土地
  • 生前贈与で受け取った土地
  • 法人が所有する土地

購入した土地は、どんなに管理が大変でも国庫帰属制度は使えません。

デメリット6:共有者全員の同意が必要

土地が共有の場合、共有者全員が申請に同意する必要があります。

よくあるトラブル

  • 相続人の一人と連絡が取れない
  • 意見が合わない共有者がいる
  • 共有者が多数いて調整が困難

共有者が1人でも反対すると、申請できません。

デメリット7:却下・不承認のリスク

申請しても、却下や不承認になるリスクがあります。

却下・不承認となった場合

  • 審査手数料14,000円は返金されない
  • 準備にかけた時間と費用が無駄になる
  • 測量費用も戻ってこない

申請件数ベースの承認率は約47%(2025年9月時点)で、申請すれば必ず通る制度ではありません。要件確認と書類準備を丁寧に進めることが重要です(出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」)。

国庫帰属制度に向いている人・向いていない人

向いている人

  • 相続で取得した更地を持っている
  • 境界が明確で、隣地トラブルがない
  • 時間に余裕があり、半年〜1年待てる
  • 費用を数十万円程度なら許容できる

向いていない人

  • 建物がある土地を持っている
  • 境界が不明確、または隣地と揉めている
  • 早く処分したい(3ヶ月以内など)
  • 相続ではなく購入した土地

デメリットを回避する代替手段

国庫帰属制度が使えない場合、以下の方法を検討してください。

1. 民間引取サービス

特徴:建物あり、境界不明でもOKな場合が多い

費用:数十万円程度

期間:1〜3ヶ月

国庫帰属より条件が緩く、早く処分できます。

2. 訳あり物件専門の買取業者

特徴:売れない土地でも買い取ってもらえる可能性

費用:0円(むしろ収入の可能性)

期間:比較的短期間

立地次第では、費用をかけずに処分できます。

3. 相続放棄

特徴:相続開始から3ヶ月以内なら可能

費用:数千円〜数万円

条件:全財産を放棄する

まだ相続が発生していない場合は、選択肢の一つです。

まとめ:申請前に十分な検討を

相続土地国庫帰属制度には、以下のようなデメリットがあります。

  1. 条件が非常に厳しい
  2. 建物があると使えない
  3. 費用がかかる(20万円〜)
  4. 審査に時間がかかる(半年〜1年)
  5. 相続で取得した土地のみが対象
  6. 共有者全員の同意が必要
  7. 却下・不承認のリスク

申請前に、条件を満たしているか、他の方法と比較してベストな選択肢かを十分に検討しましょう。

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*この記事は宅地建物取引士が執筆・監修しています。*

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